水着問題 その4

今週のお題「2013年、夏の予定」
グレース・ケリーと同じく、オードリー・ヘプバーンも、グレースタイプとされている。
映画「いつも二人で」や、私生活の写真で、オードリーの水着姿を目にしたことがある。
正直、服を着ていたほうが魅力的だなあ、という感想を持った。
オードリーは、贅肉のない、まっすぐな美脚なのに、せめて膝上部分は見せないほうがいい、と感じるのがなんとも不思議だったんだけど。
やはりグレースタイプにとって、水着は難関アイテムなのだ。
泥棒成金」でグレース・ケリーが見せた、「水着のリゾートドレス化」を、現代のコーディネートに翻訳すると、どのような解決法になるのか。
下半身には、パレオを巻いて、スカート風な見かけを作る。
上半身は、ビキニではなく、ワンピースタイプを選ぶってことである。
イメージコンサルティングの先生は、ターゲットをビキニからワンピースタイプに変更。
ところが、なぜか丸井の水着コーナーは、ビキニばかり。
すっかり、ビキニがメインのトレンドらしい。
「海外のビーチ慣れ人口」が日本人に増加しているとすると、もはやビキニの露出度や無防備さは、どうってことないものなんだろう。
しかし私は、ビキニどころか、ワンピースタイプの水着にさえも、さらにパレオを加えようとしている身である。
ワンピースタイプの水着を求めて、先生とふたり、新宿伊勢丹に移動。
水着は本館ではなく、裏手の、コンパクトな別の建物で販売されていた。
求めていたワンピースタイプ水着の一角を見つけ、先生が物色してくれる。
先生が選び出したのは、黒と青と白とグレー(全部、パーソナルカラー冬の色だ)で構成された、大輪の花が一輪あしらわれた柄モノ。
こんな大柄を着るのは初めてだったが、試着してみると、それまで試着したどの水着よりもしっくりなじんだ。
先生によると、全面に均等に柄が配置されたタイプではなく、無地のスペースも配しつつ、大胆な花が片側寄りに配されているところが、いいんだそうだ。
私はメインのイメージがグレースタイプだが、サブのイメージがファッショナブルなので、ファッショナブルの要素を加味したものを選んでくれたんだと思う。
もしグレースタイプ優先なら、無地の水着だったんじゃないだろうか。
というわけで、めでたく、水着決定。
しかし、ワンピースタイプ水着にも必須の、ちょうどいい別売りのパレオが、見つからない。
先生は、ネットで探すこともできるし、ユザワヤなどでシンプルな黒いポリエステルの布を買って代用することもできる、と助言。
とにかく脚を見せないことが重要なのだ。
帰宅後、ネットでサーチし、千円程度の、ちょうどいいパレオを発見。
メール便で到着し、今、私の手にある。
ふろしきか?と勘違いするくらい、シンプルな大判の四角い布。
しかし、そうじゃないといけないのだ。
パレオの腰の巻き方は横結びが多いようだが、私は真後ろに結んでみた。
そのほうが、前からみると、タイトな巻きスカートのように見える。
あるいは、正面、中央で結んでもいいかも。グレース・ケリーはそうだったし。
ここまで、水着を水着らしくないように着ることに力を注ぐことになるとは。
だが、「泥棒成金」で、グレース・ケリーの、水着らしさをエレガントに封じた着こなしを見たせいか、深く納得する。
泥棒成金」の衣装担当は、オードリー・ヘプバーンの映画でもおなじみ、大御所イディス・ヘッド。
新しさをとりいれていくオードリーと違い、保守的な着こなしが多いグレース・ケリーの衣装の中では、この「水着らしくない水着の着こなし」が、最も革新的かもしれない。
現代の、レギンスとパレオの出現を予知していたような革新っぷりだ。
本来、グレースタイプの枠外に位置する「水着」を、なんとしても枠内に取り込もうと苦心した結果、革新的コーディネートが生まれたということになる。
新しいものを生み出すって、こういうことかも。
水着問題、終了。