結果から始まる

学校法人的なところに勤務している友人がいて、今現在は、付属高校のひとつの、事務部門に配属となっている。
あるとき、その高校の授業のようすを友人が話してくれたことがあった。
ちなみに、かなりの難関高校で、生徒はみな超優秀と思っていい。
化学の授業。
たとえば1クラスの構成員が40名だとすると、液体の入った40個のビーカーが並べられ、それには番号がふられている。
生徒は、くじのように、番号札をひく。
そして、自分がひいた番号のビーカーの液体が何なのか、つきとめろ、って言われる。それが課題。
つきとめる方法は、さまざまにあるはずなので、それを駆使して、つきとめていく。
(超原始的な方法のリトマス紙くらいしか、私、思い浮かばないんだけど。)
これは、化学の授業が好きな生徒にとっては、とてつもなく楽しい内容となるらしい。
つきとめていく過程で、化学の知識を実践できて、調べて、新しい知識を学ぶことにもなるし。
それに、たぶんこういうやり方だと、調べる過程で必死になるし、苦労するだけに、身体で覚えるのと同じで、知識の浸透度が高そう。
学んだ果てに結果が得られるんじゃなくて、さきに「結果」が来る。「結果」から学ぶ方法、って言っていいのかな。
他にも、生物の授業だと、その高校は校内に広大な原生林みたいな森林があるので、その森林にリアルに生徒を放ち、たとえばシダ植物を10種採取してこい、とかやるみたい。
紙上の知識をリアルでも駆使できるか、ってことだよね。
そういう、リアルな結果をもとにして学んでいくって手法。他にもいくつか思い出した。
居酒屋のつまみで出てきた料理で気に入ったものは、自宅で再現しようと試みる、という料理好きな友達。
妹が高校生のときに聞いた、軽音部のクラスメイトによれば、部の新人をどうやって先輩が教えるかというと、たとえばベースが担当の新人なら、課題曲を渡して、この曲内のベースを一週間でコピーしてこい、って言う。
そうするとすごく上達が早いんだって、という話。ベース音だけが入っている曲じゃないから、必死で何度も聴いて、ベースの音を拾わなきゃいけないし、楽譜もないし。
でもたしかに、楽譜を渡されるより、そのやり方のほうが取り組み方に熱が入るし、わくわくして面白い気がする。
それと、プラダのスカートがふんわりしているのはなぜなのかを知りたくて、スカートを買って切り裂いて、薄いはりのある布が挟まれていることを発見したデザイナーの卵の話。
次元がぜんぜんちがうけれど、私も最近、「結果から始める」って方法を試してみた。
着物に使う半幅帯をネットで買ってみたら、どうも気に入らなくて、返品もできない。
ふと、もしかして好きな布を買ってきて自作できるんじゃないか、半幅帯なら、と思った。
ネットで検索したら、自作している人たちが手法を説明している記事がぞろぞろ。
でも、それよりも私の目の前にある、この気に入らない半幅帯。いっそこれを切り裂いて、どういう縫い方になってるか内側を調べちゃえばいいんじゃないか。
というわけで、切り裂きはしなかったけど、縫い方を確かめながら糸を慎重に切って分解していく。
裏側に別の布が二重に貼ってある。ネット上でみなさんが言及していた帯芯ってやつがこれか、と納得したりして。
学校内だけではなく、社会に出てからも「結果から始まる学び方」、試してみると面白いかも、です。