自分語りの方法

身体が不調のときは、刺激的なものやこってりした食べ物を避けるものだが。
精神が不調のときも、同様のことをするものだね。
消化に多くのエネルギーが必要なインプットは避けて、負担が軽いインプットを求めるの。
今年になってから、その類のインプットに該当した読みものは、2つ。
群ようこのエッセイ「ゆるい生活」と、伊藤理佐のマンガ「なまけものダイエット 甘口篇 辛口篇」。
このおふたりは、自分ネタ、自分をテーマにした創作モノが、とびきり面白い。
ワンマイルエッセイ、ワンマイルマンガ、と呼びたい。(自分の周囲1マイル以内で起こるネタが題材)
いわば「自分語り」で、人を楽しませることができる才能を持った人。
たいていは、他者に「自分語り」を長々とされると、退屈か迷惑なことが多いと思うんだけど。
それで人を楽しませることができる、ってどういうことなんだろう?
表現のしかた、かなあ。
ふたりとも、自分を良く見せようと、しない。
どちらかと言えば、自分に対する評価が低めな方たちという気がする。
だからこそ、自分の格好悪い部分を見せること、それをネタに、人を楽しませることができる力をもてるのかも。
あ、でも、自分を良く見せようとしないということは、自分に自信を持っている、ということでもあるか。
取り繕ったり、自分以上に大きく見せようとしない、というのは、それがどんな自分であれ、ゆるぎない自分を持っていることだから。
「地に足のついたまっとうな人のワンマイル自分語り」という安心感もあるな。
だって、消化に負担がないインプットを求めているところに、すごい医療現場の技術者やヤクザや犯罪者のワンマイルものを語られても逆効果だもん。
ということは。
特別に刺激的な特殊な経験をしていたり、そういう場に身を置いていない人間でも、自分語りで人を楽しませることはできる。
自分語りの表現方法に長けていれば。ってことだよね。
話術だったり、文章術だったり、絵だったり…。
それと、面白さを発見する視点や、アンテナかな。
ワンマイル。自分の行動範囲ワンマイル以内に、人を楽しませるネタはある。