ひさかたの

千年以上前に詠まれた和歌に、いまさらながら、息をのむ。
ひさかたの 光のどけき 春の日に しずごころなく 花の散るらん
桜の散る情景描写ですねー、と見せかけて、別の事象を詠っているのですよ、実は。
しずごころ(静心)を亡くしているのは、桜じゃないのです。
加えて、「は」「ひ」「さ」「し」の音が効いているので、声に出したとき、透明感、澄んだ空気感、儚い香りが、ふわっとたちあがってくる。
千年前のメタファー。世紀の名歌に震える。