桜をかじる


大阪の事務所の人から、干菓子の贈りものが私個人宛に届く。
自宅に持ち帰って、フタを開けたら、春爛漫。
隅っこに、小船と川桁があって、下に氷砂糖のような半透明な干菓子がしきつめてある上に、春の花々と果実が散る。
小船で池の水面に、花見をしに漕ぎ出したイメージなんだ…和菓子なのに、色合いやお菓子のかたちが、とてもポップ。
どれから食べよう?と悩んだが、桜が散ってしまう前に、と、桜の菓子から手をだす。
桜をかじっているときに、テレビでワシントンの桜のニュース。
桜。
冬を経ないと、桜は咲かない。
冬がこない常春の地域に桜を植えても、一度だけ花が咲いて、二度と咲かない。
冬を経ることができないから。冬のあいだに、次に咲く花のモトを育てているから。
ワシントンには冬があるから、桜が咲き続ける。
冬はぜったいにくるもの、冬から逃げたら、次の花は咲かない。
日本人が桜好きなわけが、解る気がする。