大人可愛い?

顔よりも、服のせいだと思いたい。
しかしこの理屈、通らない。
容貌の醜さを指摘する言葉を受けるということは、あきらかに顔のせいで、服に咎はまったくないのだから。
だから、顔をなんとかするのが近道なんだろう。
しかし私は、整形も、卓越したメイク技術の取得も、気がすすまなかった。
美人を目指すなら、それらの手をこうじなくてはならないと思う。
私が目指しているのは、不美人なのだから。不美人未満の状態を、緩和できればいいのだ。
そこで、服装の変更を、考えてみることにする。
自分が二十代の頃は、出版されるとは思いもよらなかった、四十代対象ファッション誌を、四十代になった今、手にとってみる。
そのファッション誌Gの展開するのは、「大人可愛い」ファッション。
アイテムだけをとってみると、二十〜三十代のファッションとそんなに変わらない。
何十例も着まわしパターンを示すよりも、ずばりアイテムと着方を多数並べる、カタログ的なつくり。
おそらく四十代女性ともなると、着まわし方法はマスターしているから、とにかくたくさんアイテムを見せてよ、という感じなんだろう。
もともとファッション音痴な私は、四十代にして、着まわし方法さえマスターしていないレベルなのだが。
ふうん。こんな感じでいいんだ、と少し甘めなテイストのゆったりめのトップスや、ワンピースを買ったりしてみる。
しかし後に、それが大きな間違いだったと知る。