二つの塔

今週のお題「2012年の秋、やってみたいこと」
東京タワーと、東京スカイツリー
森ビルの49Fにある、六本木ライブラリーカフェからは、二つとも見える。
スカイツリーのほうが遠い位置にあるため、天候によっては、ほとんど見えなくなるけど)
二つの塔を同時に見ていると、面白い。
特に東京タワーは、その全身像が、しっかりと視界におさまるため、じっくり鑑賞することができる。
東京タワーは、昭和〜という風情がするのだ。
がんばって、大地にふんばって、地に足をしっかりつけて、風雨に身をさらされても耐えている、頑固な親父さんって、風情である。
昭和を支えてきた、お父さんたちを思わせる、姿である。
その姿を離れた位置から見やる、スカイツリーは、なで肩で、すうっと立っていて、何をそんなにがんばってんの〜?もっと力抜けばいいのに〜って感じの、平成の若者っぽいエアリー感。
地に足をつけるより、天に憧れて、天に飛び立ちたがっているような姿である。
スカイツリーは未経験だが、東京タワーには、上ったことがある。
展望台内部に、神社がもうけられていたのが印象的だった。
床の一部に、30センチ四方の正方形くらいのサイズがくりぬかれて、ガラスになっている部分があり、高さと怖さを味わってみてください、とナビゲーションがあった。
東京タワーを物理的につくった人々が、建設時の恐さの名残りを、どこかに印しておきたかったように思えた。
東京タワーは、赤い。
航空法により、赤く塗らなければならなかったとのことだ。
スカイツリーは、航空灯をつければ航空法はクリアなので、赤く塗る必要はなかったとのこと。
もしかしたら、航空法とは関係なく、当事者たちは、東京タワーを「赤く」したい気持ちがあったのかもしれない、と思った。
神社の鳥居が、赤く塗られていることが多いのは、赤が魔よけ、災いよけとなる色だから、とされる。
怖かったんじゃないかなあ。
東京タワーという巨大建築をつくるのは、世紀の仕事、偉大な仕事であるのは間違いないけれど、同時に、天地に対して、自然界に対して、人間が何か恐ろしいことをしようとしている気持ちも、あったんじゃないかなあ、と想像する。
スカイツリーの内部に、東京タワーの展望台内の神社のようなものは、たぶんないのではないかと思う。
東京タワー建設時のような、恐怖感や、畏怖感のようなものから、解き放たれた時代の建築物だからかもしれない。
でも、私は、「怖いけど、がんばっている」昭和のおとうさんのような東京タワーの姿のほうが、個人的には好きである。
ちなみに、フランスのエッフェル塔の色は、「パリの街並になじむ色」を最優先にして選定された、エッフェルタワーブラウンである。
巨大建築に挑む、恐怖よりも畏怖よりも、街そのものの美観が、第一にくるって、さすがにパリって感じだ。
服装の色合いまでも、街になじむ色を選択するのが、パリのおしゃれのルールらしい。(だから黒が多くなる)
パリの思考の軸は、一貫している。
ただ私、東京タワーのほうが好き、とは言っても、スカイツリーの内部を見たわけでもなし、情報量としては不公平な状態なんだよね。
この秋は、スカイツリーに上ってみようかと思う。混雑ゆえに挫折する可能性大だが、目標ってことで。