007 スカイフォール を見る。

今週のお題「今年中にやっておきたいこと」
母殺し。
今回の007シリーズのテーマは、それだと思う。
アメリカの場合は、まずは父殺しがメインテーマになるところだけれど、ヨーロッパの場合は、そうは来ない。
マザー、マミ、マム。
「M」から連想する言葉は、シンプルに男性的な「MAN」かもしれないけれど、女性的な言葉もこんなに連想できる。
M(ジュディ・デンチ)は、MI6の支配的な母である。
MI6の諜報員は、みなMの息子であり、娘だ。
今回の2名のボンド・ガールは、濃さも悪さも、ほぼない。
人生の面でも、仕事の面でも、まだ進行形で、未完成な部分もあって、成熟した賢い悪女というより、成熟しているけれど内面に「女の子」な部分を持っているようなふたりだった。
その人物造形は、この映画を支配する成熟した女性は「M」だけであり、男も女も、すべてMの息子や娘である域を超えてはならなかった現われのように思う。
(ちなみに、新「Q」も、男性というより、BOYな風体である。)
タイトルの「スカイフォール」は、なにか新型武器か団体のコードネームだろうか??などと連想してしまうが、意外なものを指す。
ジェームズ・ボンドにとっては、自分を生み出した「子宮」のような、「母体」のようなもの。
ボンドは、それを破壊しないと、母殺しが完成しなかったってことである。
母が去った後、息子たちは「父」を得る。
一見、弱そうに見えて、実は強い、理にかなったいたずらなら見逃してくれるような、父を。
アクション映画好きには、物足りないかもしれないけれど、私は好き。見て良かった。
MI6内部での、「死と再生」の「つなぎ」部分にあたる映画なので、年始よりは年内に見ることをおすすめ。