カラーデニムの出現理由

銀座の交差点で、信号待ちをしていたら、交差点沿いのビルに大きく掲げられているGAPの広告が目に入る。
春にむけた、カラーデニムの広告だった。
カラーデニムを定番アイテム化していこうとする、売り手の気迫が感じられるなあ。
とたんに、いまさらながらカラーデニムの出現理由に気が付いた。
同じフォーマットで、色だけ変えて売られつづける商品がある。
服の場合、究極は着物。
フォーマットが同じで、布地と帯だけが違う。
同様に、ピンクハウス系やイッサロンドンやダイアンフォンファステンバーグのワンピースとか、ジョンスメドレーのニットとか、ジョゼフのパンツとか、デザインは同じで、色や柄や素材を変えて、今季限定モノとして販売されたりする。
売り手からしたら、すでにあるフォーマットに、色と素材だけ変更すればよいのだから、コストが抑えられる。
フォーマットが気に入っているファンは、つい買ってしまう。
バッグもそう。
エルメスバーキンやケリーって、1個買った人は必ず、1個じゃすまなくなって、別の色がまた欲しくなるんだそうだ。
しかしもともと、デニムは、多く所持しなくてもいいアイテムだと思う。
フランスのおしゃれアイコンでもあるシャルロット・ゲンズブールは、二本しか所持していないとか。
早い話、デニムは同一のものを繰り返し着用していても、全く周囲には違和感がないアイテム。
むしろ、繰り返し着用することが、自然なアイテム。
もしも、同じフォーマットのバッグを複数持つように、同じフォーマットのデニムを複数買わせたいと、売り手側が考えたら。
カラーをつければいいのだ。
たとえばエルメスバーキンの黒を買った人が、一個じゃすまなくなって、赤を買ったとする。
赤って目立つ色だから、あ、またこの人、赤のバーキン(つまり同じバッグ)持ってる、と周囲の人の記憶に残りやすくなる。
使えば使うほどに。
赤のカラーデニムも同じ。
あ、この人また赤のデニム(同じ服)着ている、と周囲の人が気が付く。
となると、同じ服ではなくちがう服を着ていることを示すには、別のカラーのデニムを購入することになる。
買い手が、1本のデニムじゃすまなくなる、その方法のひとつが、カラーデニムの定番化だ。
ただのデニムじゃなくて、模様をすりこんだ、プリントデニムも、同じ理屈だろう。
もともとGAPを目指していたというユニクロも、当然春はカラーデニム祭りの状態のはず。
春の予定。どれだけの買い手に影響したか、街中を歩くときは観察してみることにする。