裏側の筋肉

運動能力が著しく低い私なのだが、ピラティスだけは続いている。
ピラティスを始めたきっかけは、一日のうちほとんどの時間が座り仕事、という部署に異動になって、三週間目に突如腰痛を起こしたことだった。
長時間の座り仕事に耐え続けるには、腰を支え続ける筋肉を鍛える必要があるのではないかと思った。
今、一年中の座り仕事でも腰痛を起こさなくなったのは、ピラティス効果だと思っている。
ピラティスを初めて知ってから、最初の二年は、グループレッスンの教室をあちこち放浪。
初めてピラティスを経験したときに、すっかり気に入ったものの、レッスンするたびに、色々とわからないことが出てきた。
私の動きはこれで正しいのか?と、自信が持てない。
グループレッスンなので、レッスンの進行を止めて、講師に個人的に質問するわけにもいかない。
ピラティスを始める前に、何年かヨガの経験はあった。
ヨガは、正しい動きというより、「理想的なポーズ」があって、自分ができる範囲でそのポーズに近づければよい、という感じなので、正しい動きかそうでないかと悩むことはあまりなかった。
しかし、ピラティスは、「正しい動き」じゃないといけない気がした。
そして、ヨガよりもピラティスのほうが断然、好きになってしまっていた。
というわけで、ここ三年は、ピラティスのパーソナルレッスンを月3回程度続けている。
もともとピラティスは、パーソナルが本来のレッスンの形態であり、レッスン時には、ピラティス専用の各種の器械も使う。
パーソナルでもなく、器械も併用しないピラティスのレッスンは、取得内容や速度に限界がある。
実は去年、自律神経が不調気味なのに甘えて、月2回のレッスンにペースを落としていた。
しかし、年末を迎え、年明けに行ったタイマッサージで、
「なんか、背中の筋肉、落ちましたね・・・」と指摘されて、戦慄。
去年のように、1回行って、1回休む、というペースではまずい、そうだ、2013年からは、3回行って、1回休む、というペースにしよう、と決意。
毎週休みなく、というのは、つらいんだよね。
三年目になるピラティスのパーソナルレッスンを受けていて、つくづく思うこと。
ピラティスは、隠れた部分の筋肉を鍛える。
よく、ピラティス体幹部の筋肉、インナーマッスルを鍛えると言われる。
私は、それに加えて、とにかく裏側と内側の筋肉を鍛えられると感じる。
脚でも、前面や外側ではなく、内側と後ろ側の筋肉を意識するよう、徹底して注意される。
上半身もそう。身体の前面よりも、背面の筋肉への意識を促される。
内側や裏側の筋肉は、人目には触れにくいところにあるが、そこを鍛えた場合と、人目に触れやすい前面や外側の筋肉を鍛えた場合とは、身体のできあがりが異なるようだ。
個人的には、前者の鍛え方のほうが気に入っている。
これ、たとえば、企業で、人目に触れる華やかな部署に対して、縁の下の力もち的な部署がしっかりしているか、いないか、の差のようなものかもしれない。
服装にも応用ができるだろうか。
おしゃれな人とは、内側や裏側がおしゃれな人のことであって、人目に触れやすい部分を着飾ることではないとしたら?
おしゃれの内側や裏側の筋肉ってなんだろう。
これからじっくり時間をかけて、答えを見つけ出すのが楽しそうな、テーマである。