身体の意見

私のリピート食材のひとつに、マルサンアイの「有機豆乳無調整」がある。
この200MLパックを、平日の朝に玄米コーヒーにブレンドして、熱々にして、飲むこと約四年。
中学生の頃に調整豆乳を口にした瞬間、私は一生豆乳は飲めない!と決定して、それ以来、豆乳を口にしたことはいっさいなかったにも関わらず。
きっかけは、ソニア・パークが、著書の中で、マルサンアイの調整豆乳の製品を紹介していたからだった。
会社帰りにナチュラルローソンをのぞいて、マルサンアイの豆乳はあるかな、と探したら、陳列棚にあったのが、たまたま「有機豆乳 無調整」だった。
どうせなら調整より無調整のほうがいいだろう、と1パック買い、中学生のとき以来の豆乳を、おそるおそる口にすると。
お、おいしい。
この豆乳なら、私、飲める!と即座に決定した。
しばらくは、冷たいままで飲んでいたが、女性は温かい豆乳しか飲むべきではない、という意見をどこかで聞いて、温かい豆乳オンリーにしていた。
二ヶ月に一度、マルサンアイのネット通販で、箱買いをしていたが、あるとき、注文のタイミングを逸して、朝に飲む豆乳を切らしてしまった。
たまには他の豆乳でも買ってみようか、と、ナチュラルハウスでオーガニックな風情を漂わせているさまざまな豆乳の中から、ひとつ選んで、いつもの飲み方で、温めて、口にしたとたん、その癖の強さに驚く。
の、飲みにくい・・・・。
豆乳って、冷たいままじゃないと癖が強すぎて飲めない、ということを聞いたことがあったけれど、ずっとマルサンアイの「有機豆乳無調整」だけを、それも熱々にしたものだけを飲み続けていた私は、なんで?別に温めたって癖はないよ?と不思議に思っていた。
温めても味に癖がないってこと自体が、凄いのだ。
温めたときにこそ、豆乳の真の味がわかるのかもしれない。
この出来事を経て以来、マルサンアイの「有機豆乳無調整」(温め)ひとすじの朝を継続していた。
先月のこと、書店で、ただいま売れてます!コーナーにあった書籍、「長生きしたけりゃ肉は食べるな」に興味がわいて、買って読んでみたところ。
「豆乳は身体を冷やす陰性食品だから、とるべきではない」という記述が。
うん、豆乳が陰性食品なのは知っていた。
だから、冷たい状態ではぜったいに飲まないで、熱々にして飲んでいたの。
「身体を温める野菜」とされるものでも、(にんじんとかごぼうとか)実は生の状態だと、陰性なのだ。
それらの野菜に、火を通して熱を加えた調理をすることによって、陰性度がゆるみ、陽性になる。
だから、豆乳も陰性だけれど、温めれば、陰性の度合いはゆるむはずだ。
しかも私は、玄米コーヒー「ブラックジンガー」(これもリピート食材である)に、温めた豆乳をブレンドして飲んでいる。
ブラックジンガーは極陽性なので、豆乳がいくら陰性が強くても、ブラックジンガーの影響で、全体としてのバランスは陽性よりになっているはず。
と、自分の中で、具体的な反論は、即座にまとまったんだけど。
こういうときは、自分の身体の意見をきくべきだから、ものは試し、と朝の豆乳をやめてみることにした。
飲み物に入っていた豆乳が除かれると、極陽性のブラックジンガーだけだから、陰性度も払拭されることになる。
一週間が経過。
身体の状態には、特に変化はない。
悪くもならないけれど、良くもならない感じ。
通販で豆乳を取り寄せるのも面倒といえば面倒だし、飲まなくていいなら飲まなくてもいっか、と思っていた矢先。
偏頭痛が起きる。
生理前にだけ起きる、偏頭痛だ。
頭ががんがんして不眠に陥るほどの。
もともと頭痛自体、めったに起きない体質だったのが、数年前に突如「生理前の偏頭痛」に見舞われた。
四十歳になったときだっけ。
翌月もこの偏頭痛が来たらどうしよう!と不安になり、起きそうな時期に、処方された漢方薬を飲むようにしたら、頭痛からは免れた。
二回ほど漢方薬を使ったら、偏頭痛が起きなくなったので、以来、漢方薬を使うこともなく、生理前の偏頭痛も起きなかった。
しかし、偏頭痛が起きなくなり始めた時期って、豆乳を飲み始めた時期ではないか?
漢方薬なしでも、私の生理前偏頭痛を、この数年間、止めていてくれたのは、豆乳だったのでは?
生理前偏頭痛の原因については、さまざまな意見があるけれど、生理前というだけに、女性ホルモンのバランスの乱れがそのひとつとも言われている。
豆乳に含まれる、女性ホルモンに類似した、イソフラボンが、私の身体の、何らかの防御壁になっていたのかも。
証明など、できない。
でも、たぶん、温めた豆乳は、私の身体にいい。
それが、身体の意見。
「長生きしたけりゃ肉は食べるな」の著者は、豆乳をとらない生活が身体にマッチしているんだと思う。
でも、似合う服が人それぞれ違うように、合う食材も人それぞれ違うはず。
他者の意見より、自分の身体の意見をきかねば。
去年あたりから、自分の身体を客観視するくせがついてきている。
自分とは別に、意思をもって動いているようなイメージ。
それはイメージコンサルティングを受けた結果、自分を客観視することを意識しはじめた、効果であるのかもしれない。
仕事をしていて、不安感に陥ったり、どきどきしたりすると、だいじょうだよ、落ち着いて、びっくりしたよね、と、まるで別人に対するように、自分の身体をいたわっている、ヘンな私である。