春シャツに悩む

悩んでいる。
シャツに悩んでいる。
シャツって難しい。
シャツは「着るもの」である。
世の中には、もっともっと重要な問題がある。
「着るもの」って、人によっては、あるいは今置かれている状況によっては、重要度はうんと低くて、どうでもいい問題に入るはずだ。
しかし「どうでもいいこと」に悩んでいると、もっと大きなことについて悩まなくてすむ。
私の場合は、仕事に関することで悩むことが、少なくなった。
頭の中を「シャツ」が占めていると、仕事はちゃちゃっとやっちゃって、早くこの悩みに取り組まねば!となる。
「どうでもいいこと」について悩むのは、けっこう楽しくて、心にも頭にも、もしかして身体にも、プラスの効果をもたらしているように感じる。
などと、どうでもいいことを長く前置きしたが。
春は、シャツ一枚で過ごせる季節なので、春シャツが欲しくなる季節である。
私に似合うシャツって、なんだろう?と悩む季節でもある。
まず、シルエットから。
ゆったりしたビッグシャツ系と、タイトなスリムシャツ系。
グレースタイプの私の場合は、スリムシャツ寄りだが、タイトすぎず、身体の線に沿ったシルエットが良い。
しかし、それって難しい。
シャツを探していると、自分の身体は平均より平べったいのではないか、と自覚する。
例えば、胸のカップは小さいのに、胸囲が大きい。
タイトなストレッチコットンのシャツを試着すると、第二ボタンのラインに横じわが出る。
ならば、とそこに横じわがでない大きさのものを着てみると、背中の上部が、たぷっとあまる。
次に、素材。
グレースタイプには、はりのある上品な印象の生地、推奨。
わざとしわ加工を施した「しわシャツ」は対象外。ネルシャツもダンガリーシャツも禁止。
かといって、シルクやリネンなどの、やわらかい生地がだめというわけではない。
次にあげる条件がかなえられていれば。
襟。
「立つ」襟であること。
これは必須ポイントみたい。
シルクやリネンのやわらか素材は、この点がかなえられていないものが多い気がする。
襟が、くたっと寝てしまっているものを、多く見かける。
二週間ほど前、テレビでショッピングチャンネルを流し見していたら、リネン素材のシャツが登場した。
つい、食い入るように襟をチェック。
すると、奇妙なことに気がつく。
チェックしようにも、襟が見えないようになっているのである。
ハンガーにかかった状態のシャツの襟は、さすがに見えるが、人の身体が入った状態じゃないと、本当の服の姿はわからない。
番組に登場していた、そのシャツを着たメーカーの女性は、シャツの襟元にスカーフを巻いていて、襟がほとんど見えない。
ならばモデルのシャツ姿は、とモデルが登場すると、またびっくり。
セミロングのヘアスタイルのモデルは、左右とも髪を前に垂らし、髪で襟を隠していたのだ。
確信した。
襟の形に自信がないんだ。襟をぜったいに見せたくないんだ。
リネン素材ということからして、くたっと寝てしまう襟なんだろう。
しかし、番組上では、みごとにそのシャツはソールドアウト。
私がこだわっているだけで、襟が立とうが寝ようが、それこそどうでもいいことなのかもしれない。
とにかく、シャツの素材やデザインのイメージは、つかんだ。
では、もし、イメージに合うシャツがあったとして、私はそれを、どのように着たいんだろう?
続く。