シャツのディテールに悩む

シャツをパンツの上にアウトする着方をする場合、丈に注意せねばならない。
私は上半身が長いので、シャツ丈は65センチ以上欲しい。
ストレッチコットンだと、スリムタイト前提の素材で、全体的にタイトになる危険があるから、ストレッチが入っていないほうがいい。
背中のタックやダーツも、できればあまり入っていないほうが、部分的なゆるみが出すぎなくていいかも。
などと考えた結果、昨年の春は、結局、メンズシャツ(バナリパ)を買った。
カップが小さいけど胸囲がある人間の場合、レディースシャツより、メンズシャツのほうが、胸周りは身体に沿うのだ。
丈も、レディースより確実に長いし、襟も寝てしまうもののほうが少なく、ちゃんと立つ襟だったし。
しかし、丈や胸周りや襟の形は都合がよくても、肩幅が不自然だった。
肩の末端のラインが、自分のラインから、わずかにオーバーする。
わずかだけど、違和感があった。
シャツの肩のサイズって、1センチの違いで、印象が大きく変わるものなのかもしれない。
さて、この春。
先月手にした知花くららのスタイルブック「Forever Basic」で、シャツの章があり、その筆頭で紹介されていたのがドゥーズイエムクラスのシャツ。
私が探しているタイプとはちがう、ゆるっとしたタイプのシャツだったが、印象に残ったので、ドゥーズイエムクラスのシャツをネットでチェックしてみる。
すると。
この襟の形、いいなあ、と思うシャツがあった。
その襟の名称は、ワイドカラー。
メンズシャツの世界だと、大きくデザインが変わらないぶん、私には違いがさっぱりわからない、ディテールの違いに懲るみたいだ。
襟の形もそのひとう。
レギュラーカラーと、ボタンダウンしか知らなかったけど、襟の幅とか、襟先までの傾斜角度とか、さまざまに異なった、襟の形がある。
ワイドカラーは、襟幅が広めで、「三角形」な印象が強い形。
一番上のボタンまで止めた場合は、ハイネック気味の襟の高さになる。
これ、もしかして「麗しのサブリナ」で、サブリナがパリの料理教室に通っていたときに、エプロンとともに着ていたシャツ襟と同じじゃないかなあ。
ドゥーズイエムクラスで取り扱っていたワイドカラーのシャツは、ORIAN(オリアン)のシャツだった。
イタリアのシャツの老舗メーカーで、シャツ本来のデザインにできるだけ手を加えず、それでいて、シャツは第二の皮膚のようであるべき、というコンセプトの説明が付記されていた。
画像を見ると、身体に沿う感じの細身のシルエットなのに、背中にダーツがいっさい入っていないのが、不思議だった。
値段は安くはないが、欧米の輸入物のシャツで、2万円代半ばとか三万円代という価格はよくあるから、それに比べれば、二万円を切る価格なので、高すぎるってわけではないような気がする。
気になったので、店舗に試着しに行ってみた。
取り扱いは2サイズあったが、上のサイズはその店舗では売り切れだったので、小さいほうを試着。
袖に腕を通すと、薄めのコットンのするりとした感触が心地良い。
胸まわりも背中も、背面部を含めた全方位のウエストまわりも、しめつけるわけではないのにフィットする。
オリアンが謳う「第二の皮膚」の意味がわかったような気がした。
しかし、肩の部分と、アームホールがきついので、このサイズは私には無理だ。
そこで、もうひとつ上のサイズの店頭在庫がある、別の店舗に試着しに行く。
幸いにも、肩とアームホールのサイズはクリア。
サイズが合うほうを試着して、このシャツ、素敵、と改めて思う。
店員さんのお話によると、オリアンのシャツは、去年を含めて一時期ドゥーズイエムクラスで取り扱っておらず、今年は取り扱いを再開したとのこと。
日本に店舗が進出しているわけではないので、百貨店やセレクトショップ、ネットショップで取り扱いがある場合にだけ出逢える品のようだ。
というわけで、オリアンのシャツ、購入。(嬉)
さっそく着ようと思ったのだが。
続く。