うなぎコーデ

昨日は、二回目の土用の丑の日だった。
(ちなみに今日8月4日は「箸の日」だそうだ。日本語って可愛い。)
二週間ほど前、恵比寿を歩いていたら、すうっと横を通り過ぎて行った人がきものを着ていた。
あ、きものだ、と思って注視したら、後姿の、帯のお太鼓部分の絵柄が目に入ったとたん、ええっとなる。
へ、蛇? と思ったのだ。
蛇の上半身を真上からとらえた図を、簡略デザインしたような、絵柄。
今年が蛇年だから?と考えて。
あ、そうか、蛇じゃなくて、うなぎなんだ、と合点がいく。
夏の土用で、丑の日が間近。
だから季節感を汲んだ、うなぎ柄。うなぎコーデなんだ。
しゃれっ気たっぷり。しかしこの時期のためだけにある柄だなあ。
きっと、きものを着慣れている人で、毎年この時期にこの帯で楽しみ、楽しませているんだなあ、と感にふける。
ところで、11月のきもの計画を立てた私。
そもそものきっかけは、一冊の本だった。
三砂ちづる著「きものは、からだにとてもいい」がそれだ。
著者がきものを着よう、と突然決意した理由は、靴とストッキングと西洋下着を身に着けることが嫌になったから、とのことだ。
その条件をクリアするには、日常的にきものを着るしかない。
特に印象的だったのは、「わき、えり、すそ」という章。
女性用のきものは、脇、襟、裾が開いている。
「人間が最も汗をかくのは、脇、首のまわり、そけい部あたりであるらしい」という指摘に、深く共感。
たとえ夏用クール素材と謳われている夏用パンツでも、そけい部の汗は防ぐのは難しい。
脇などは、真冬でも脇汗が生じる。
首まわりの汗のかきっぷりも、またしかり。
ということは、汗をかきやすい箇所が、通気口のように開いているきものって、理にかなった衣服なのでは?
もうひとつ印象的だったのが、「木綿のきもの」という章である。
かつての日常着としてのきものの素材は、ウールや木綿であり絹ではない。
絹となると、ホームクリーニングができない。
日常着は、自力で洗えて、手入れができなければ不便だ。
きもの初心者だった著者は、紬(つまり絹製)のきものから始めたが、二年ほどたってやっと、木綿のきものにたどりついたそうである。
木綿の着物は、ネットにいれて洗濯機で洗うことができ、価格もリーズナブル。
読後、私は、もともと晴れ着としてのきものには興味がわかなかったが、木綿のきものなら着てみたいなあ、と思った。
この本を読んだおかげで、私は二年分をショートカットして、いきなり木綿のきものに到達できた、と思うことにする。
「きものは、からだにとてもいい」は文章が主体で、文章のみの書だったので、次に、きものカタログ的な本も、読んでみることにする。