なぜか花嫁セット

まさか自分が、きもの本コーナーの前に立つ日が来るとは思いもしなかった。
大型書店では、さまざまなジャンルの書棚が設けられている。
私にとって、未知の書棚も、既知の書棚も、過去形の書棚も、現在進行形の書棚もある。
書棚の遍歴は、自分の歴史の現れでもあるような気がする。
きもの本コーナーで、何かぴんと来る本は・・・と物色。
新刊で平積みになっていた、「着物がもっと楽しめる 石田節子の着まわしと着付けの鉄則」を購入。
きものの感じ、写真やモデルの雰囲気が上品で、かつ古びている感じのようにも見えなかったから。
文字数少なめ、写真多めの書を、きもの用語がわからないなりにも、ファッション誌を楽しむ感覚で読む。
巻末近くに、石田節子の店舗「衣装らくや」の紹介があった。
ネットでチェックしてみると、きものの販売だけではなく、レンタルや着付教室にも力を入れている様子である。
しかも、トップページには、「1日着付け体験レッスンが今なら1050円で」の広告が踊っている。
きものを着せてもらうのではなく、自分で着る、通常料金3150円の2時間のレッスンだ。
夜7時以降の時間帯も設定され、毎日受付中。ただし予約は三日前まで、とある。
とにかくきものを実際に着てみるに越したことはない!これに行っちゃお、と決心。
しかし、レッスンは、きものや帯はあちらで用意してくれるが、持参するものもあった。
肌襦袢、裾よけ、足袋」の三点である。
足袋以外、何のことだかわからない。
肌襦袢→タンクトップ、裾よけ→レギンスやスリップ、足袋→靴下でも可能、と配慮している。
どうせなら三点とも用意していこうかなあ、と思い、ネットで検索すると、きもののオンラインショップがどっさりヒット。
かつては、こういった小物を手に入れるにも呉服屋まで出向かなければならなかったはずだ。
買おうとしているものが何なのかさえわかっていないレベルの超初心者にとっては、敷居がぐっと低くなって便利なうえにありがたい。
どれを買おうかなあ、と探していると、ちょうど、「足袋・肌襦袢・裾よけ」が三点セット、三千円ほどで販売されているのを発見。
これにしよ、と購入したそのセットの商品名は「花嫁セット」であった。
ユーザーコメントも、多数の和装花嫁さんからのものが寄せられている。
いや、私の場合、花嫁になる予定は、全くないんだけどさ。