「11/22/63」

秋の夜長は読書とブログ
スティーヴン・キング著「11/22/63」を、一気読み。
正確には一気に読めたとはいえない。
上下巻あり、各ページ2段組で、一冊の厚さって、4センチくらい??
だから一巻につき、8時間、合計16時間の読書時間を要したのだけど。
でも、それは、16時間、別の世界に連れていってくれる、ということだ。
シーンによっては、このうえない臨場感に巻き込まれるのが、キングの技のひとつである。
タイトルは、1963年11月22日のこと。
この日、ケネディ大統領がダラスで暗殺された。
もしも、この暗殺がなかったとしたら?
この暗殺を、止めることができたなら、世界はもっと良くなっていたのでは?
主人公は、ケネディ暗殺をなかったことにする使命を帯びて、1950年代のアメリカにタイムトラベルをする。
50年代の食べ物や人々や社会にまだ残る、素朴さ、ナチュラルさの描写も、楽しい。
しかし、キングの描写が冴えわたるのは、なぜなのか暴力的なシーン、流血シーンだったりするのだが。
何が起こったのかを既に知っている現代人がタイムトラベルするのだから、ケネディ暗殺を行うのが、リー・オズワルドであり、暗殺当日まで待たずとも、その日に至る前までに、オズワルドを消せばいい。
しかし、そうはならない。
この本の中の世界に設定されたルールがある。
それは、「過去」が、変化に抵抗するというルール。
過去を変えようとする人間に、周囲の世界が、徹底して邪魔をする状況が起こるのだ。
満身創痍となった主人公は、果たして暗殺を止めることができるのか?
キングがこのストーリーを発想したのは、なんと1970年代だったというのも驚き。
すぐに書き始めることができなかったのは、膨大な調査期間を要したからだそうだ。
秋の夜長の一気読み。(いや、たぶん二、三夜かかると思うけど)
キングからの秋のプレゼントである。