シルエットが変わると

洋服のデザインの変化を見るポイントは、シルエット。
たしかこの知識は、岩波ジュニア新書「ファッション・ライフのはじめ方」で仕入れた。
ファッション誌の掲載写真を、影絵を見るように、シルエットだけを切り出して見ると、面白い。
ここ数年続いた細身のシルエットが、逆の方向に変化する、それがいよいよ明確に現れてきた気がする。
布地の面積が増加し、直線的でシャープなものから、ゆったり・丸みのあるものへ。
しかし、私に似合うシルエットは基本、細身なので、いくらこのシルエットが流行と言われても、手は出してはならない。
私がゆったり・丸みのあるシルエットを着たら、もっさりするだけだ。
しかし、新しいシルエットの中でも、ロング丈のタイトスカートには着目。
ロング丈のタイトスカートは、グレ−スタイプに似合うアイテムでは。
今まで、スカートはひざ上丈が主流だったから、イメージコンサルティングの先生は長め丈のスカート探しに苦労していたようすだったもの。
じゃ、秋冬の新しい服で、ロング丈のタイトスカートは、探しにいってもいいかも、と思って。
はた、と気がついた。
ロング丈のタイトスカートって、合わせるトップスはぼんやりと思い浮かぶけど、寒くなってきたとき、ジャケットやコートなどのアウターは、何を合わせればいい?
ひざ丈のコートは似合わない気がする。
短めのアウターが似合う気がするけれど、ひざ下くらいまで覆うアウターじゃないと耐えられない時期が、すぐにやってくる。
あるいは、コートも同じくロング丈であれば似合いそうだけど、布地が増える分、ロング丈のコートは価格も上がる。
突如、なぜマキシスカートが夏物主流のアイテムであるのかに気がつく。
ロング丈のスカートって、アウターをあわせるのが難しいから、アウター不要の時期のほうが、コーデが楽なのだ。
もしロング丈のタイトスカートを買ったら、それひとつではすまず、アウターの買い替えもついてくる。
ともにグレースタイプである、オードリー・ヘップバーングレース・ケリーが着こなしていたロング丈のタイトスカートのアウターは、スカートとそろいのツーピースのタイトなジャケットだった。
ってことは、そろいのツーピースなら完璧なコーデになるけれど、それじゃ改まりすぎだし。
ロング丈のタイトスカート単体で見れば、グレースタイプ向きのアイテムかもしれないが、服はスカートだけでは簡潔しない。
これは、手を出さないで様子見のほうが利口かも。
新シルエットのアイテムでは、パンツも、ボリューム感のあるデザインがちらほら。
しかし、細身のパンツも健在である。
ロング丈タイトのアウターの難しさに気がついた今、よくわかるよ。
だって、細身のパンツって、たいていのアウターが合うもの。
アウターのストライクゾーンがすごく広いと思う。
そんなことを思って歩いていた一昨日の朝、ロング丈タイトスカートのおばあちゃんとすれちがう。
白髪のふんわりボブのヘアスタイルの、小柄なおばあちゃんは、黒いロング丈タイトスカートに黒のハイヒール、トップスには、ふんわり・ゆったりしたオフホワイトのニットジャケットをあわせていて、めちゃんこキュートだった。
ゆったりニットジャケットは私には合わないアイテムなので、私自身はこのコーデ真似できない。
でも、ゆったりトップスが似合う方、ぜひ真似してみてください。
すれ違う人を楽しませてくれるから。