帯は結べたものの

帯を結ぶことができた。
大久保信子式で、自分で帯を結ぶことができた。
着れた〜!
初めて着物を最後まで自分で着ることができた嬉しさと、天候の良さも手伝って、調子に乗った私は、そのままちょっと近所の散歩に出かけてみた。
9月中旬のことである。
一時間半。
そのあいだは大丈夫だった。
一時間半近く経ったとき、帯のお太鼓の中に納まった部分が曲がっている気がして、ちょっとひっぱってみた。
それがいけなかった。
その数分後、お太鼓の中のたれが、びろんとすべり落ちてきた。
幸い、すぐ近くにタクシー乗り場があった。
片手で後ろのたれを織り上げて支えたまま、タクシー乗り場へ、だだだっと、せいいっぱいの速度で走る。
そういえば、大久保信子の著書には、きもののときの、タクシーへの乗り方、降り方も、写真入りで説明があったっけ、でもそんなことを実行する時間も心のゆとりもないっ。
こうして、自宅から徒歩10分の地点から、タクシーに乗って帰り着く。
初めて結べた帯で外出するのは無謀だったが、ま、近所にしておいて良かった。
帯のたれがすべり落ちたわけを考えてみる。
お太鼓の中に織り込んだたれの長さの配分と、帯締めの位置の悪さかなあ。
私は一重太鼓結びしか知らないけれど、帯結びって、完成させるのはあんなに苦労するのに、破壊するのはとても手がかからない。
帯締めと、帯枕の結び目。
この二箇所をはずしてしまえば、帯結びは全壊する。
私の帯が崩れた箇所は、帯締めが支えを担当する部分だった。
帯締めって、単なる飾り物じゃなくて、必須にして重要なパーツなのだ。
帯締めには5千円以上を出せ、という説をネットで目にしたことがあるが、帯結びをしっかり支えるには、帯締めそのものの質も重要ってことだろう。
何はともあれ、大久保信子式の結び方で練習をすれば、帯結びはこなせそうである。
しかし。
ひとりできものを着てみて、新たに改善したい箇所に気がついた。
脇部分の布の、ゆるみである。
妙に脇が余るんだよなあ。
たまたま「着付けお悩み相談」が掲載されていた雑誌「七緒」のバックナンバーに、同じようなお悩み項目を発見。
すると、写真に収まるときには、あまった布を帯の中につめこめばよいが、日常で動いていると、脇はゆるむのが自然だし、脇にゆるみがないと手が上下に動かせないのだから、気にすることはない、という回答だった。
そんなものなのか、とその時点では思うことにした。