脳内麻薬

前回の続き。
中野信子著:「脳内麻薬」では、脳が快楽を感じる元になる物質、ドーパミンが分泌されるのは以下のようなときとある。

楽しいことをしているとき
目的を達成したとき
他人に褒められたとき
新しい行動を始めようとするとき
意欲的な、やる気が出た状態になっているとき
好奇心が働いているとき
恋愛感情やときめきを感じているとき
セックスで興奮しているとき
美味しいものを食べているとき

ドーパミンが放出する脳の回路は、報酬系と言われ、人間の脳にとっては、このうえないご褒美。
ちなみに、悠長に9つのどれかに取り組まずとも、手っ取り早く、大量に脳にドーパミンを放出させる作用を持つのが、コカイン、LSDなどの各種麻薬だ。
最短経路、最小の努力でご褒美を手に入れる、合理的な近道かもしれないが、金銭的にも身体的にも、その代償は大きい。
また、セロトニンドーパミンとは逆の作用をする、鎮静剤的な物質。
ドーパミンを過剰に放出させると過度な興奮状態になり、セロトニン過剰だとウツになっちゃいかねない。
ということは、脳内のドーパミンセロトニンがバランスよくブレンドされていることが、健康的な精神状態だ。
私、これは、人がもつ魅力に例えてもいいような気がする。
サンドラ・ブロックレオナルド・ディカプリオに備わった、健全な魅力は、ふたりを目にした人間に、ドーパミンセロトニンを放出させる力があるのではないだろうか?なんて思うのだ。
サンドラとディカプリオは、いわば、ヘルシーな飲み物、ドーパミンセロトニンブレンドのような人なのかもしれない。
こういう人たちを見ること、は9つの一番目の「楽しいことをしているとき」に該当かなあ。
「楽しいこと」って人それぞれだから、快楽殺人者だったりしたら、大変なんだけど。
ひとりの人間がやることが、9つのどれか少数に偏っても、それはそれで不健康そうな気がする・・・。
ヘルシーな脳に仕上げるには、9種類のブレンドが必要といったところか。
ちなみに、私、こうやって文章を書いていると、けっこうわくわく感がある。
心身ともに多忙だと、つい書くのが滞ってしまって、書き始める前は悩んだりするのだけれど。
書きながら、ドーパミン、カモーンって感じになってきた。
それから、金銭的にも身体的にも時間的にもコストをかけずにドーパミンを獲得する方法がひとつ。
笑顔だって。
たとえつくり笑いでも、不思議なことに脳にドーパミンが分泌されるのだそうだ。
そういえば、私の知り合いの範囲内での感想だが、関西人には、笑うことに対する絶対的な信頼があるような気がする。
それは文化的な土壌なのかなあ。
地元のテレビでも、落語界の噺家が出演する番組が複数、常時あって、落語は誰もが幼い頃から触れるあたりまえの教養だと思っていたけれど、そうでもないんだね、と関西出身の友人談。
会社の同期にも関西人がいるけれど、入社研修のときに、人前で各種口頭で話すときは「いかにして周囲の笑いをとるか」をまず考える、と聞いて、ええっ、とびっくりしたものだ。もしかして、こどものときからそのスタンス?
友人は「笑いとは支配だ」とさえ言い切る。
相手を笑わせたら、支配をしたことになるんだって。
そういえば、自分をデコラティブした芸術で名高い森村泰昌も関西人で、氏の展覧会を見に行ったとき、ある作品に、戦争があっても、誰もが笑ってしまう笑いの爆弾があれば平和になる、なんてコメントが添えられていて(うろ覚えだが)関西人的発想だなあ、なんて納得した記憶があるなあ。
元気が出ないときは、サンドラやディカプリオを見るもよし、とりあえず笑ってみるのもよし。