Suicaの思い出

記念Suicaの予約が凄いことになっているそうだが。
私のSuicaの思い出といえば、現代美術の展覧会で出逢った、Suicaを使った作品だ。
展示されていたのは、千葉・東京・神奈川部分の巨大なJR路線図のスクリーン。
そのスクリーンは、専用のカードリーダーにつながっていて、自分のSuicaを持っている鑑賞者は、リーダーにSuicaをあてる。
すると、そのSuicaの磁気データに記録された、過去のJR路線の乗降データが読み取られ、巨大なスクリーンに、時系列順に乗降履歴駅のラインが描かれていくのだ。
数多くの鑑賞者がSuicaで通った路線の、記録線の集合体が、アートになっているわけ。
当時、Suicaとメトロカードは使用路線が分断されていたから、私がSuicaをあててみると、恥ずかしいほどにつまんないラインを描き始めた。
山の手線上の、ある一定の駅と駅のあいだに、繰り返し、何度もラインが、ぐぎぐぎぐぎぐぎ、しつこく描かれる。
やだー変化のなさっぷりが恥ずかしい、と、思ったら、湘南新宿ラインを使った日があって、突如、新宿駅から横浜駅まで、しゅわっ!とラインが大きくジャンプして、のびのびとしたラインが描かれた。
ぐぎぐぎぐぎ長々と助走したあげく、ついに気持ちのいい跳躍を果たしたような一瞬。
そうだ、日々を送るうえで、ときには、このくらいの変化が、跳躍がないと。
Suicaの乗降履歴に、活をいれられてしまった思い出。