アンジー、あなたも

アンジェリーナ・ジョリーが、乳がん予防のための乳房切除につづいて、卵巣がん予防のため卵巣も切除したというニュースを知ったとき、何を思ったかというと。
もしやアンジー、あなたも「負けたくない人」ですか?
というもの。
負ける前に、負けないように手を打つ、という人…。
思えば、女優業を引退し、監督業に転向する、という行動も、もしやそれではないか。
このままハリウッドで女優を続けていても、「いい役」はどんどん来なくなる。
若手美貌女優がどんどん現れる戦場だもの。
演技派女優や性格女優なら、年齢は関係なく、むしろ年齢も味になるだろうけど、そういうスタンス自体、「負け」を意味するのだろう。
だから、負ける前に、戦場から撤退する「負けたくない人」なんじゃないかなー、アンジーも。
だからといって、監督の世界で負ける可能性は、今のところ考えていないのだろうか…。
今後、アンジーがどのような道を選択していくのか、興味がわく。
ちなみに、負ける前に、自分を破壊する、というタイプの人間もいると思う。
これは「負けたくない人」とは、またちがっていて。
たとえば、マドンナとピカソ
ずうっと前、「イノベーションのジレンマ」を読んだ感想に派生して、思いついたおふたりなんだが。
マドンナもピカソも、ショービジネス界と美術界で、それぞれ長期持続的なスターの座を保持。
ふたりに共通しているのは、一定期間ごとに、自分のスタイル、画風を、がらりと変えてしまうこと。
自分のスタイルが「古い技術」になる前に、他の「新しい技術」がやってくる前に、自分自身が「新しい技術」となって、それまでの「古い技術」の自分を破壊する。
自分で自分に、イノベーションをしかけつづけている人。
すごく勇気がいる行為だ。
今、売れている、成功しているスタイルや画風を、自分で壊して、別のものに変えてしまうんだから。
その行為、意図的なのか性格的なものなのかは、わからない。
ピカソはわからないけれど、マドンナは明らかに意図的だなー。
あ。
マドンナは、「負けたくない人」じゃなくて、「勝ちたい人」なんだ。
「負けたくない人」は、ときに戦場を離脱する方法を選ぶけれど。
「勝ちたい人」は、ひとつの戦場に勝ったら、こんどは別の戦場を自分でつくるんだ。また勝つために。
「負けたくない人」は、私の周囲にもいっぱいいるけど、「勝ちたい人」を見かけないのは、それがマドンナ並に稀有な人だからなのね…。