江戸のデザイン

薄いピンクの木綿の着物と、チューリップ柄の入った半幅帯は、春しか着るチャンスがない。
今のうちに着ないと!着たいっ!と気にし続け、やっと昨日、着て、出かける。
暖かくなってきた春には、木綿の着物が軽やか。
街中も歩きこなし、電車も乗りこなせる木綿の着物と半幅帯の気負いのなさが、私はすっかり気に入っている。
根津美術館のお庭に行こう♪と、展示が何かも確認せずに到着。
妙に混んでいるなあ、と思ったら。
展示は「燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」だった。
おおっ! 世紀の名作「燕子花図屏風」の展示シーズンなのだ。
今回は「紅白梅図屏風」も、ともに展示されているのが見所とのこと。
でも、圧倒的に「燕子花」のほうが、洗練度、完成度、自分の好みの点で、上回るなあ。
たしか「燕子花」を拝するのは、三度目だと思うが、初めて見たときに、花をほとんど描きこまない、平面シルエットだけのような、大胆にシンプルな筆触に驚愕したから。
細部に目を寄せ付けず、離れて見させて、屏風全体のデザイン美を、見せるねらいだ。
美術の教科書の片隅の写真や、ネット上の画像では、「燕子花」の凄さが感覚的に見えない。
実物を見ると、尾形光琳は、画家ではなくて、デザイナーであることが、はっきりとわかる。
細かく花を描きこんじゃだめなんだよ、デザインなんだから、これで、いいんだよ。ふっ
って尾形光琳が笑っている感じ…。
江戸の稀代のトップデザイナー、光琳琳派は、江戸のトップデザイナー集団か…。
デザインは、技術や豪華さを見せるのではなく、何かを抑えること、省くこと、にあると「燕子花」は教えてくれる。
→「デザイン」に、限らないね。それ。