ひさしぶりの説得

話し方がヘタだな、と自分でも思う。
話す前に考えず、話しながら考えるタイプらしい。
だから話す内容に無駄が多いなーと自分で思う…。
数年間、同じ上司だったせいか「上司を説得する」ってことも、数年間やったことがなかった。
説得のシチュエーションに見舞われないくらい、価値観とか考え方が、同じだったの。
上司が変わって、今日、ええ?なんで?というような指示を伝え聞いて、これは反対せねば!とまず「反対」という目標を頭の中にぱっと掲げて、それだけで上司のもとに走った。
まず私の口からこぼれ始めたのは、その指示によって、労務面で、結局新たな手間を産む、ということ。
しかし、それに対しての上司の考えは、そのくらいのカバー業務が労務に追加されるのは当然、というもの。
労務面」でいろいろ言葉を繰り出して言っても、効果がない…。
話しながら、別の説得方法のサーチが頭の中で動きまわっていたみたいで、突然、別の内容が飛び出した。
対象はすべて、新規のお客様なのだから、慎重に応対すべきではないか?
あ、これだ。上司に効いたみたい。その指示を実行するかどうかは、他の部署にも聞いて、検討する、ということで収まる。
前の上司がまだ引継ぎで毎日やってくるので、その指示の話をしたとたん、即座に「とんでもない!」という反応。
そう、どう動くべきか、何が大切か、という価値観がこうやって同じものに形成されている間柄だと、説得みたいな手間やエネルギーを使わずにすむんだよなあ。
わからない相手を説得する、その説得対象が、お客や他社じゃなくて、同じ社内の人って…時間と労力の無駄。
でも、世の中のたいていの労働者の仕事の半分は、仕事仲間の説得・理解・教育に割かれるのかもしれない。
自分で会社を興したければ、自分と同じ価値観をもつ少人数で始める、という考え方は、納得できる。
誰かを説得するのって、真実を伝えればOKってわけでもないんだなあ。
真実を伝えても、理解できなければ効果ないし。
何を言えば相手にひびくか、なんだね。
だから、ああかな?こうかな?と、変化球をどんどん投げていくしかないのか。
…なんてことを、数年ぶりの説得行為で気がついたのだった。