夏の木綿着物

身体を締め付ける衣服が、どんどん苦手になってきている。
肌も敏感になってきていて、麻混でもちくちくを感じて、ちょっと不快、ほとんど木綿なのが、一番ホッとする。
肌にぴたっと密着したり、摩擦が強いのも苦手になってきていて。
しかし、ゆるゆる、ダボダボシルエットは似合わないワタシなので、どのように対処していくべきか、ただいま葛藤中。
ちなみに、着物のときも、できるだけ締め付けを避けて着ている。
幸い、私の着物の用途は、街着なので、カジュアルでいいのだ。
だから、冬以外はできるだけ木綿の着物、一年通して半巾帯、と割り切ることにした。
母と妹は、着物は絹で、帯はお太鼓結びをして、もちろん帯揚げと帯締めもして・・・という着方なので、私のカジュアルっぷりに、ちょっと不満げ。
しかし、夏休みに帰省したとき、妹がお太鼓結びをしてくれたら、私にとっては、締め付けが強すぎ、気分がだんだん悪くなってきたくらいなのだ。
それに、衣服って、用途に左右されるものだから。
結婚式に参列するわけでもなく、パーティやお茶席に行くわけでもなく、豪奢な食事に行くわけでもないのに(そういう人たちは車で移動するだろう)、街中や電車内を足元までつやっとした絹で覆われたドレス(着物)で歩行していたら、不自然だもの。
というわけで、私のこの夏の着物も、絹の夏着物なんてものではなく、木綿の阿波しじらだったのだが。
さすがに、暑さがピークな時期には着る気力がなかったけど、四回着ることができて、四回とも、それぞれとてもいい思い出をもらった。
着物姿初見せの友人には、やばいよ〜とホメてもらった(喜)。
でも、明治神宮が一番嬉しかったかも。
一緒に写真を撮って、と、あなたの写真を撮らせて、という依頼が、どちらも女性ツーリストからだったのである。
女性に依頼されるのは珍しい。たいてい男性だったから。
ひとりは、英語の感じからいってスペイン系の女性で、もうひとりはアメリカ女性かなあ。
女性に言われるほうが、なんか嬉しい。絹じゃないのに。木綿の着物と木綿の半巾帯だっていうのに。
もしかして、着物の着こなし度があがってきたのかも?と自分に都合よく解釈する。
スペイン系女性は、ゆーあーべりーびゅーてぃふる、って二回も言ってくれ、そのフレーズ、一生ワタシには無縁かと思っていました、ありがとうございます・・・と恐縮。
今夏はこれで着収めだよ〜と洗濯機に阿波しじらをじゃぶっと丸投げ。
木綿の着物でも、じゅうぶん幸せになれるよ。
非日常を日常に近いレベルに、もってこられるのだから。