椿の生きざま

椿の季節がやってきた。
古くから人が住んでいる地域の庭には、金木犀と椿も古くから住んでいることが多い。
金木犀が選ばれたのは、わかる。
他の植物からは得がたい、あの芳香。
この夏、近所一の金木犀の巨木が、切り倒されているのを目にしたときは、ショックだった・・・。
そして、椿が選ばれたのは、ライバルがいないからだ。
はっとするほどビビッドなピンクの花を咲かせている椿の姿を目にすると、冬だな、と思う。
私が出番の季節よ、とばかりに椿が微笑む冬は、花自体、少ない。
冬の花というだけで、希少な存在。女性が希少な惑星にいる女性のような冬の椿。
もしも椿が春や夏に咲いていたら、他の花に埋もれていたはず。
でも冬に咲く花というだけで、圧倒的な存在感なのだ。
椿が咲く生垣をめぐらす家は、冬の華となる。
ライバルがいないところ、自分が主役になれるところ、を見つけた椿はエラい。
太陽が元気で、空気があたたかい春夏ではなく、たいていの花が音をあげる、厳しい冬に咲くことを選んだ椿は、強い。
個性の金木犀、強さの椿。
冬の時期こそ、椿の生きざまを、力に。