和晒し

今使っている、掛け布団カバーが、大好きである。
好きなデュベカバー(掛け布団カバー)を見つけるのは、敷布より難関なのである。
半年前に見つけたデュベカバーは、ガーゼ。つまり、コットン。
ガーゼはガーゼでも、「和晒し」製法のガーゼ。つまり、晒し(さらし)。
インザルームで一万円したコットンより、その二倍以上したベルギーリネンより、高島屋で6千円で買った、和晒しのガーゼが大好き。
三年ほどまえ、自分で着物がきられるようになろう!と決めたとき、最初にあたふたとそろえたのが、着物用下着類だった。
わけのわからないまま、ネットで見かけた着物下着三点セットを買って、届いた中に、晒し素材の、はんてん型の、ボタンも紐もない、昔からある、赤ちゃんの肌着みたいな、上半身用下着が入っていた。
ボタンも紐もないけれど、まず素肌の上にこれを、身体をつつむように羽織ると、なんとなくひたっと肌についているので、その上に襦袢を着込んでいけばいい。
古来からある「晒し」って、ガーゼって、気持ちがいいなあ。このふれごこち、安心する。
今は、着物用下着でも、古典的な晒し下着じゃなくて、スリップみたいな立体的な製品がたくさん出ている。
そちらに先に手を出していたら、晒しとの偶然の出会いはなかったわけだから、自分の目を持たずに無邪気に選択をしてみても、ときにいい結果を呼ぶのかも。
デュベカバーも、晒しに近いガーゼのほうが気持ちがよいかも。
高島屋の寝具コーナーで、ガーゼの掛け布団カバーはどこでしょう?と聞くと、その一角に案内してくれる。
どれにしようかな...とチェックしていると。
パッケージの上の「晒し」という漢字が目にとびこんでくる。
晒しをつくっている製作所が、晒しと同じ技法でつくりました...これ!これください!とお買い上げ。
晒しについて、ネットで調べてみると、晒しには「洋晒し」と「和晒し」という製法があって、綿を煮込んで、水洗いする工程に、ちがいがある。
「洋」は機械を使って40分で仕上げる。早煮。
「和」は4日間かけて、原則手作業、専用の釜で、綿をゆっくり煮込む。綿にストレスを与えないように。
大切に親切に晒されたコットンは、ふんわり成長して、商品になる。
自宅で、使いはじめると。
とにかく、うっとりする。
ふわりとしたふれごこちに、うっとり、つつまれて、うっとり。
リネンのようなさらっとした冷たさがなくて、やわやわまといついてくる。
涼しげなイメージがあるけれど、冬でもあたたかさがある。
すばらしい、和晒し。
私が寝具売り場で「晒し」でつかまれたのは、もともと着物のおかげで、ふつうの人は「オーガニック」とか「リラックス」でつかまれはしても、「晒し」でつかまれることは難しいと思うのだが。
和晒しの掛け布団カバー、おすすめなのである。ほんとうにほんとうに。