レッドクローバーと心臓

24日の夜から、25日の夜まで、私の心臓は変だった。
数分に一度、どくっ、と痛む。それがずっと続く。
こんなことは初めてだった。
気候のせいだろうか、と思った。
天気予報からは得られない、温度や湿度や気圧の目盛りからはわからない、
もっと深いもの、わからないもの、地球の大気の何かが、通常とちがっているのだ。
数分に一度、どくっ、と心臓を殴られているのに、仕事はいつも以上のトラブルに見舞われ続け、半泣き状態で一日を終え。
25日の夕方、心臓の、どくっ、が続いたまま、帰宅すると、部屋の中の、鉢植えのレッドクローバーが、異様に成長していた。
たった一日で。
・・・レッドクローバーが感じた何か、大きくひっぱられた何か、大気のエネルギーのようなものが、あったのではないか・・・
勢いあまって茎が伸びすぎて支えきれなくなって鉢の外側に上体そらしの状態でくてっとなっているレッドクローバーの横で、ふーむ、と推理していた。
26日になったら、心臓の、どくっ、は消え去っていた。
そして、心肺停止で死亡したタレントのニュースを知った。
レッドクローバーだけじゃなく、心臓もひっぱられそうだった、あの日の大気。
見た目にも、数値にも表れないのに、見えないエネルギーが渦まいていたとしか、思えないなあ。
見えるものだけがすべてではない、見えないものが、この世界にはいっぱいある。
見えないものこそ、巨大な力を孕んでいたりする。