夏の約束

先週末、妹が遊びに来た。
事前に、日曜日の昼から夕方まで一緒に過ごす予定を考えていて、まず、昼食で行きづまってしまった。
こぎれいなお店の、ある程度美味しい食事は、妹も大人なので日常的に知っている。
新宿へ迎えにいって、帰路につくまでに浅草に行くのが妹の希望。
お昼はどこで?
思いついたのが、弁松(べんまつ)の白飯弁当。
あれを妹に食べさせてあげたい。
新宿伊勢丹でテイクアウトして、わたしの家で食べて、そのあと浅草へ向かえばいいんだ。
新宿と浅草のあいだに、わたしの家は位置するのだし。
なによりも、弁松の白飯弁当は、ぜったい妹は好きなはず、と思ったのだ。
しかも、地方でこれを食べようと思うと、ハードルが高い。
東京(と千葉船橋)にしか店舗がなくて、白飯弁当は、その日が消費期限で、午後5時までに売り切れる。
こどものころから、さんざん一緒に食卓を囲んできた妹の食の嗜好についての私の予想は、たぶん当たってる。
結果は、大成功だったのだ。
予想どおり、白飯弁当がとっても気にいった妹は、白豆のきんとん以外は完食。(きんとんは私が食べる)
テーブルも用意したけど、床にござマットを敷いて、その上で食べるのとどっちがいい?と聞くと、ござを選択。
ま、お弁当だし、人目もないしね。1080円の白飯弁当で大満足したあと、浅草へ行く。
コスモポリタンな様相の浅草寺。国籍に関係なく、どの旅行者もテンションがあがる観光地だよなあ。
なので妹も大喜び。
何を売っているのかよくわからない店舗をいくつも巡っていて、ある店舗から出て、ふと向かい側を見上げると。
そこに「ふくろうカフェ」の看板があった。
ふーん、ふくろうカフェなんてあるんだ〜と、続いて店舗から出てきた妹に、見て、ふくろうカフェだって、と指し示すと。
「ふくろうカフェ?!」と、突如、くいつく妹。
そして「入ろう!」と走り出した。
なぜこんなにくいついたんだろう?と不思議に思いながら、旅先ではツーリストの希望が最優先だし、と異議を唱えずついていく。
ふくろうカフェに入って、受付の女性に「2名です」と伝えると、「ご予約はされていますか?」と聞かれる。
ふくろうカフェに、予約が?!
「し、してません」「そうですか、今からですと午後6時からになりますが」(そのとき午後4時頃)「・・・ではやめておきます」
受付周辺とカフェ内とのあいだには、仕切り壁はなく、植木と水槽が置いてあって、せめて、と、そのスキマから中を覗いてみる妹と私。
・・・五羽のふくろうの後姿が見えた。
ふくろうの前には、何人もの(予約を入れていた)お客が。
ふくろうカフェは、どうやら、浅草店より前に、秋葉原に第一号店があるらしい。
なぜ妹が、ふくろうカフェに反応したかというと、実は故郷にも、ふくろうカフェがある、とのこと。
そのふくろうカフェはビルの一室にあって、妹はたまたま向かい側のビルにいて、窓越しに、ふくろうが室内にいるのが見えたのだそうだ。
なぜあそこに唐突にふくろうがいるのか?と疑問にかられた妹はたしかめにいき、そこがふくろうカフェだとわかった。
「でも、ふくろうカフェに一緒に行こう、と誘えるような人っていないんだよね〜」という妹。
というわけで、まだ行ったことがない。
「そっか、じゃ、夏休みに帰省したら、私がいっしょに行くよ」
「うん、行こう、行こう!」
と、夏休みの予定のひとつがまとまる。GO TO ふくろうカフェ。
・・・まさか故郷でも、ふくろうカフェに予約が必要なのだろうか?