伝達難解

「電灯を松明に戻せ」的な業務命令に、最初は怒りで震えたものの、松明に戻したらどうなる?と考えてみたら、「いいこと」をたくさん見つけてしまった。
よーし、松明に戻すぞ!と意気込んでいたら、あっけなく、「やはりその路線はやめるそうです」と連絡。
なーんだ、がっかり。
見つけたばかりの「いいこと」が、あっというまに消えたのだった。
「いいこと」は掘り出せば見つかる!これから何があっても、のりこえられる!と明るい気分で勤務を終えたら、母からメールが入っていた。
ここのところ、わたしが体調を崩し気味だったので、二週間くらいずっと母は心配している。
親に心配をかけるのは、こどもとしてはすごくイヤだ。
よし、心配をするなと伝えよう!
わたしが元気だとアピールするには、大きな声でしゃべってみよう。
遅々としたペースながらも、習い事のおかげで、出そうと思ったときに大きな声が出せるようになってきているわたし。
今こそ、それを披露するべきわたし。
さて、母に電話をするわたし。
「わたしは元気だから!これから何があっても、くじけない!何があってものりこえる!だから心配しないで!」
と母に向かって大声で繰り出すと、「何を怒っているの?」と母が泣きそうなようす。
「怒っているんじゃない! 大きな声が出せるということは、わたしが元気ってこと!わたしは元気だから、もっともっと大きな声が出せる!」
と、さらに大きな声で伝えるわたし。
なんか、異常じみたモードが醸し出されているような気がする。
すると「・・・わかった、わかった」と、狂人をなだめるような穏やかな口調になる母。
「元気だから!」
「わかった、わかった」
電話を切ってしばらくして、母からメール。
<大きな声を出すと、過呼吸になるよ。親子なんだからムリしないで>という文面・・・。
だめだ、伝わらなかったか。