蛇女的ヴィーナス

先週末のNHK日曜美術館」のテーマはルカス・クラーナハ
「ヴィーナス」の女体ヌードが、リアルな体型からわざとはずれ、デフォルメされていることについての、丁寧な説明に見入っていた。
胸が小さくて、腕が短くて、肩幅が狭くて、胴体と脚は長すぎて、
ひざ下はリアルより細く、太ももはリアルより太い。
肌の描き方も特徴があって、肌理が目立たないよう、なめらかさを強調する手法。
ルカス・クラーナハは生存中から大人気の画家で、クラーナハ工房のブランド印として、「冠をかぶった蛇のマーク」が作品下に描かれているとの説明に来て。
あれ?このヴィーナスはまさに、「冠をかぶった蛇」ではないか?と気づいた。
クラーナハの「ヴィーナス」はまとめ髪だ。
宝石で装飾されたヘアネットに髪を円形に収めている。
これ・・蛇の頭部のフォルムに似ている。
ヘアネットの宝石の装飾ぶりは、冠っぽいし。
このヴィーナスの裸体は、蛇にデフォルメしたんじゃないかな。
腕を短く、胸を小さくしたのは、凹凸をできるだけ目立たなくして、身体全体を同じ太さになるように近づけて、頭のかたちも蛇の丸い頭部に近づけるためには、あの円形ヘアネットしかない。垂れ髪なんてとんでもない。
ぬらぬらとした肌の質感を追求したのも、そういう肌のほうが爬虫類的だし。
クラーナハは、ヴィーナスに蛇を宿らせたんじゃないかなあ。
「ヴィーナス」と「蛇」の組み合わせが、デフォルメの骨なんだ・・・。
組み合わせの妙についても、考えさせられてしまう、クラーナハのヴィーナス。

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