知花くらら「Forever Basic」

四十代にも「可愛い」テイストの服装を推奨している雑誌もある中、この本の、知花くららの服装は、「可愛い」がほぼ払拭された、大人っぽくて、ナチュラルな女らしさで、いいなあ。
こうやって、ひとりの人物が着る、まとまった数の服装を一冊の本に仕立てられると、彼女に似合う、似合わない服装が見えてきて、面白い。
知花くららの場合、「短い丈より長い丈」が、ポイントかも。
トレンチコート、スカート、ジャケット、ワンピース、すべてに置いて、長い丈のほうが似合う。
ミニや、膝上スカートより、膝丈タイトスカートやマキシスカートが似合うし、
膝上丈より、膝下丈のトレンチコートが似合うし、
ジャケットも、短め丈は絶対NG。おそらく、70センチ超えの着丈のジャケットが似合うと思う。
リトルブラックドレスも、ミニ丈や膝下丈より、もっと長く、イブニングドレス丈の、ひきずるようなロング丈が似合う。
黒いイブニングドレスの写真は二枚あるけれど、無造作なヘアスタイルとナチュラルなメイクでありながら、なんて優雅に着こなしているんだろう、と見惚れる。
たぶん知花くららは、ナチュラルタイプなんだろうなあ。
ヘアスタイルもメイクも服装も、できるだけ飾らないほうが美しさが際立つ。
この本のあとがきには、国連世界食糧計画で、慈善活動もしている彼女にとって、オードリー・ヘップバーンが特別なファッション・アイコンとある。
面白いのが、知花くららが、オードリーの服装例としてあげたのが、オードリーが女優の仕事から遠ざかって、スイスの自宅で趣味の庭園づくりに打ち込み、テレビ番組「世界の庭園から」でナビゲーターとして登場していた時代に、身に着けていた、ラルフ・ローレンの服装であることだ。
たいていは、デビュー当時の、イディス・ヘッドが手がけた服が際立つ「麗しのサブリナ」あたりから、ジパンシイ100%の「シャレード」あたりの服装をあげることが、多いはず。
ちなみに、ラルフ・ローレンの服って、たぶん一番似合うのはナチュラルタイプの人だと思う。
ナチュラルタイプの人のためにある服、といっていいほどの。
たぶんナチュラルタイプである知花くららが、オードリー・ヘップバーンのファッション史の中でも、ちゃんと自身が似合うラルフ・ローレンの時代に着目しているのが、なんとも鋭い人だと思うし、面白いなあ。
二ヶ月前の「Domani」で、この本の宣伝記事があり、その中でたしか知花くららは「この本を買った人の部屋の中にいつも置いてあって、手に取られる本になってほしい」と希望していたと思う。
はい、私の部屋の中に常置して、ひんぱんに手に取る個人の服装コーデの本は、ただいまオードリー・ヘップバーンソフィア・コッポラミランダ・カーの三冊でしたが、
そこに、知花くららのこの本も、加えさせていただきます。