イメージコンサルティング

「あなたは、グレースタイプです。」
それが、私の診断結果だった。
「えええっ、グレース?!」
まったく予想外の診断結果に、驚く自分。
六本木ヒルズのアーテリジェントスクールで、パーソナルカラーは「冬」であると診断されてから、半年後。
半年間「冬」の色合いの服と思われるものへの、買い換えにトライしていた。冬のバーゲンも活用した。
しかし、約三千円というお手ごろ価格の講座が提供してくれるのは、「パーソナルカラー=冬」という情報代がせいぜいである。
色見本が貰えなかったので、色の選択にも、いまいち自信がもてなかった。微妙な差で、別のタイプの色合いになってしまうカラーが、多々あったのである。
それに、冬と思われる色の服を着ていても、通りすがりに「○ス」と言われるのは、相変わらずだった。
本格的な個人診断を再度受けて、色見本をもらったほうがいいか…と、思い「パーソナルカラー」でウェブ検索をしていると。
パーソナルカラー診断は、イメージコンサルティングの中の一部で、カラーの他に、骨格診断やパーソナルデザイン診断もあわせて行うことが多いと知る。
色だけではなく、似合う服のデザインも診断するのだ。
それまで、そういったスタイリスト的なコンサルティングを受けるのは、一部のセレブリティや芸能関係者だけだと思っていた。
だが、今は、コンサルタントが育っていて、数も増加しつつあり、一般的な市場が始まっているようすである。
個人営業のコンサルタントが多く、殆どのホームページ上で、イメージコンサルティングの概要も明かされている。
それらをチェックしていると、コンサルティングの方法も「流派」があるような気がした。診断結果の用語名が異なるのである。
相場の価格は3万5千円程度。
この価格が高いか高くないかは、受けた後でなければ、答えはでない。
でも、たとえば会社員の四十代女性が、一着1万2千円程度の服を三着買い、その三着とも、買ったこと自体が失敗だった、という事態が起こる可能性は、大いにあるはずだ。
(私には、ある!)三着ではすまないことも、大いにある。
コンサルティング以後に、三着分の失敗買いを防止できたとしたら、じゅうぶん支払い価格の元はとれるはずだ。
結局、ここ!と決めたのは、一番、「臨床例」のブログ記事が豊富だった、吉祥寺のコンサルタントだった。
生き生きとした文章情報って、魅力的だし、強いね。
その流派のコンサルティングは、診断結果を8タイプに分ける。
ファッショナブル、グレース、フェミニン、ナチュラル、ロマンス、キュート・ガーリー、キュート・ボーイッシュ、キュート・アバンギャルド
一位(メイン)と二位(サブ)を選んでくれるので、組み合わせの論理でいくと、56タイプになる。(たぶん)
カラー診断には、服装だけではなくメイクも含まれ、ファンデーション、口紅、チークなどの色合いも、その人に会う色合いを診断してくれるとのこと。
さて、診断当日。
洗面所で洗顔して、すっぴん状態で診断を受ける。さすが、メイクしたままで診断された講座とは、手間のかけ方が違う。
しかも、カラー診断は、電気はつけず、窓越しに差し込む自然光だけを使って、鏡の前で布をあてていく。
たぶん、自然光のもとで見る色が、本当の色なのだろう。人間の色も含めて。
午前中から診断を始めるのは、この自然光を得ながら、診断することが必要だからかもしれない。雨じゃなくてよかった。
パーソナルカラー診断の結果は、やはり「冬」。人によっては、別のところで診断されたカラーとはちがっていることがあって、ショックを受ける人もいるとのこと。
おみやげに「冬」の布のはぎれが貼られた小さなファイル、色見本手帳が貰える。これこれ、これが欲しかったの(嬉)。
この日のコンサルティングで、驚いたことがいくつかあったのだけど、そのひとつが、メイク用品の診断のとき。
現在使用中のものを持参して、ファンデーションを見せると、先生は「あなたはそんなに色が白いのに、わざわざ色黒にする色を使っていたなんて、もったいない」と苦笑する。
私は、自分が色白だとは思っていなかったので、すごく驚いた。
ただ、私の場合、青みのある色白ではなくて、黄色みのある色白なので、この黄色みで、自分は色黒だと思い込んでいたらしいのだ。
色白は七難隠すというが、私の不美人未満状態を隠す力までは、持たなかったらしい。
いや、七難隠しても○スって言われる状態って、よほど酷いといえば、酷いのかもしれない。
私の顔って、いったいいくつぶんの「難」に相当するのだろう。
とにもかくにも、似合う色あいのファンデーション、口紅を選んでもらって、後日自分で購入するために、メーカーや製品名をメモする。
ちなみに、ファンデーションは、ちふれの液体ファンデーションのピンク。使いやすくて、肌に問題も出ないので、今でも引き続き使用中だ。
口紅は、少し青みが入ったダークレッドの、ドラッグストアで購入できる製品で、千円程度というお手軽価格。
価格も色合いも気に入っていたが、使いつづけていたら唇が荒れだした。
どうしよう、と考えて、オーガニック製品のナチュラグラッセのダークレッドの口紅を下地に塗って、その上に塗る方法で「運用」している。
まゆずみ、アイラインは「黒」につきるとのこと。
以後、まゆずみはちふれ、アイライナーは、ナチュラグラッセの黒のペンシルを使っている。私は普通のメーカーのアイライナーだと、とたんに涙目状態になるのだ。
全般的に、メイク用品に対して肌が負ける。
不美人未満から不美人を目指すにあたって、卓越したメイク技術の取得、という方法が圏外だったのは、このためだ。
先生は、チークとアイシャドウも、似合う色味の製品を紹介してくれたが、ふだんはチークのみにしている。
私は「グレースタイプ」と診断されたのだが、幸いなことに、グレースタイプは、メイクを最小限にしたほうがいいタイプだったためでもある。
メイクをしっかりしたほうがいいタイプや、「目」を強調したメイクが似合うタイプもあるとのこと。
もしもそっちのタイプだったら、私にとっては苦労度がかなり増加したと思うので、本当に幸いであった。
この日のイメージコンサルティングは、「グレースタイプ」という診断結果に驚いたところで終わる。
実はこの日、2人同時のコンサルティングだったため、もうひとり、初対面の人のコンサルティングも同時進行し、お互い見物しあう状態になっていた。
彼女の診断結果は、キュート・ボーイッシュ。芸能人でいうと、安室奈美恵渡辺満里奈、榊原郁恵などが該当するとのこと。自分でも診断結果に納得気味の表情で、その日の服装も、すでに、ほぼタイプに合ったものだった。
そして、彼女のほうは、私がグレースタイプと診断されたことにも、納得していたのである。
つまり、私だけが、診断結果に驚いて、納得できないモードなのだった。
なんせグレースはテーラードジャケットが似合うタイプと説明されていたが、私はテーラードはぜんぜん似合わないと思い込んでいて、ノーカラージャケットしか持っていなかったのだ。
「○○様は、ジーンズは履きますか?」先生が私に聞く。
「たまに履きますけど…」と答えると、先生も、彼女も、ふたりして、そろって「それはダメ」的な、否定的な表情をする。
ジーンズ、いってみれば「カジュアルな要素」が最も似合わないのが、グレースタイプなんだそうだ。
コンサルティングには、「お買い物同行」がついており、診断結果にもとづいて、実際に先生と一緒に後日ショッピングに繰り出し、実物の服を相手に指導を受ける予定。
言葉と、簡単なイメージ画像と、同タイプ有名人名だけで説明されていた「グレースタイプ」の服の実像が、「お買い物同行」で徐々に焦点を結んでいくことになる。
「お買い物同行」の記事はまた後日に。
このイメージコンサルティングで、私は、似合う服について、パーソナルスタイルについて、具体的な道を示され、その道の入り口まで、連れて行かれたのだった。
こんどは道に入ってからの模索と探求が、始まることになるのだけれど。