非管理職は敗者か?

わたしの勤務先で、給与体系が激変した。
非管理職の一番上のレベルと、管理職の一番下のレベルで、月額15万円の差をつくる変化。
15万円の差をつくるために、前者の月額給与は5万円減額、後者の月額給与は10万円増額。
管理職にならない限り、定年まで1円たりともあがらないんだそうだ。
それで、わたしは前者なわけよ。
いろいろ考えた。
この給与体系って、全員管理職を目指すべきだ、ということかな。
中年を過ぎて、管理職になっていない人間は、不要ということかな。
会社が欲しいのは、「非管理職の若年」と「管理職の中年」で、それ以外はいらないということかな。
非管理職は負け組、管理職は勝ち組ということかな。
なんか、ずっと好きだった人に、とつぜん失望してしまった感じ。
これから先、どう言いつくろわれても、失望する前の時点には、もう二度と、戻れない。
そう思った人は、他にもいたみたいで、ここ半年で、長年勤務している非管理職の女性が何人か退職し始めた。
そうか、そういう変化が起こるんだなあ。
一方、もしも管理職の立場をはずれたら、最低15万円減になるということになると、管理職は、会社に対して、上司に対して、イエスマンにならないかなあ。15万円の人質(人じゃないけど)をとられているんだから。
実際、そんな空気も生まれはじめていて、会議ではほとんどの管理職が、上司の仰せのとおりにいたします、という雰囲気になっていて、非管理職のわたしのほうが、それはおかしいっ!と上司にかみついている雰囲気を感じる。
だって、わたしはヘイキ。
半年のあいだ、いろいろ考えて、わたしなりに結論を出したので、いま、わたしは淡々と仕事をしている。
そこへ、わ〜痛快だな〜と思うことが起きる。
痛快っていう形容詞を使ったことは、あまりないけど、自然とこぼれてきた言葉が「痛快」だったのだ。
管理職を辞退して、非管理職になりたい、という社員が現れたのだ。
降格をじぶんから願い出る?しかも大幅給与減なのに?
管理職としての仕事より、現職の仕事をやりたくってたまらないのが、その理由だって。
もともと、同じ職種の会社を過去に二つ渡り歩いてきた人だから、その職種を究めたいきもちのほうが強いのかもしれない。
決して仕事のできない人ではなく、むしろ仕事のデキる人なのである。負け組なんてイメージから遠い人なのである。
会社は降格願いを受け入れたんだけど、課内にその人以上の位置における人もいなかったので、部長が課長を兼務するというヘンなことになってしまった。
たぶん、会社にとっては予想外の現象だったのではないだろうか。
優秀な人間を厚遇すれば、会社は良くなる!厚遇とは給与であり、優秀とは管理職!という思想しか見えない新給与体系。
しかし、どう見ても優秀な人間が、降格を望んでるよ?
たぶんその人、うちの仕事を究めたら、うちを去っていくんだろうな、という予感がした。
見ているもの、見ている先が、ぜんぜんちがう気がした。
そういえば、わたし、管理職になりたいのかな、と考えてみると、じつのところ、あまりなりたいとも思えない。
あまりなりたくないものを目指しても、仕方がない。
お金じゃないんだね。
お金が多いほうの仕事が魅力的というわけじゃないんだね。
「その先」に、べつの仕事、べつのものが待っているほうが、魅力的なんだね。
考え方に、古さと新しさのちがいを感じるなあ。
はじまったばかりの古い給与体系。これから先、どんな変化が起きていくのかを観察するのが、いま、わたしは楽しみなのである。ふふん。